2019年 06月 06日
原点回帰 |
水曜日、走る。
ツーリング先で必ずチェックしておきたいのは、セルフのガソリンスタンドだ。
理由は二つある。
第一の理由は、自分のバイクなので自分でガスを入れたい。
スタンドの店員さんにガソリンをタンクの上にこぼされたくないのだ。
こぼされ率80%くらいの勢いでこぼされた経験のある方も多いと思う。
上手い人はまずいないと思っていい。
二輪の趣味をもっている店員さんなら別だが・・。
第二の理由は、携行缶にガソリンを入れることがあるからだ。
殊にスポーツスターは、タンク容量が少ない。
携行缶は必須だ。
筆者は、危険物乙種4類の免許状をたまたまもっている。
この日も携行缶にガソリンを入れようとしたら、店員さんに声をかけられた。
「入れましょうか?」
「いえ、危険物の免許状を持っていますから大丈夫です。免許証お見せしましょうか?」
「あっ、そうですか。では、どうぞ。」
こんなやりとりがあった。
自分のペースで燃料くらい入れたいものだ。
だからセルフスタンドが出先でどこにあるかチェックするのは、必然なのである。
水曜日の相棒は、1998年製FXDL。ダイナファミリーでは最終年のエボリューションエンジンである。
ちまたでは、もっぱら最終年ということに価値があるかのようにいわれているが、
購入した理由はそんなところにはない。
価値が下がるよりはいいが・・。
ダイナでは2009年製インジェクションFXDC、1999年製FXDWG初期ツインカムワイドグライド、
2004年製ワイドグライドを乗り継ぎ、現在のローライダーに行き着いた。
エボの後期にこだわり、1996年製FLHR、1996年製FLSTC、1996年製FXSTSスプリンガーなどを乗ってはみたが、
スタイル、乗り味、ポジション、鼓動感など、自分の理想に近かったのは、現在のFXDLだ。
なにより筆者には確固たる理想がある。
それは「オヤジの休日」であるべき・・であること・・?
いまから十数年前、夕暮れの田舎道を車で走っていて、名もないパーキングで休憩をとったときのことだ。
そこに一台のハーレーがやってきた。
ドコドコドコドコッ、ドコドコドコ。
エンジンの鼓動が周囲の雰囲気を変える。
排気音が楽器の音色のように上品で、それでいて逞しく、夕焼けに染まった駐車場を包み込んだ。
ハーレーがもつ独特の雰囲気が、ここまで人を惹きつけるものなのか・・。
たった1台なのに、大きな存在感に圧倒されてしまった。
夕暮れ迫る刹那の時間が、ハーレーのためだけにあるように感じた。
ヘルメットを脱いだその顔は、そのへんにいる普通のオヤジだった。
60歳になるかならないか、くらいのオヤジだ。
今思えば、それはダイナ。黒い色をしていた。
当時、ハーレーのことなどまったく詳しくなかった筆者は、
雰囲気を醸しだしているオヤジとバイクに思わず近寄っていっていた。
「ハーレーですか?いいですね~。」
そういうのが精一杯だった。
オヤジはおもむろにタバコを取り出し、燻らせた。
おいしそうだった。
「ふーっ。」と一息煙を吐き、ニヤリと笑うオヤジ。
なにもしゃべらず、しばらく互いにバイクだけを見つめる時間が過ぎていった。
帰りの車の中で、なんとなくではあるが、自分もハーレーに乗るかもしれない、
そんなことをボーっと考えていた。
これが筆者の理想とする「オヤジの休日」だ。
自分はこんな風にバイクと付き合いたい。
サイコーにかっこいいオヤジになりたい。
そのときそう思った。
これがリターンしたときハーレーを選んだ原点だ。
この原点をいつまでも、そしていつも忘れまじ。
by 326saisai
| 2019-06-06 19:43
| 道